車窓から「USA」も!今年はサマー「ソニック」体験しながら大分へ!!~大分駅「大分の車窓」(1,029円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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鹿児島本線・小倉(こくら)駅に入ってきたブルーメタリックの電車は、JR九州の特急「ソニック」。
「ソニック」は博多から鹿児島本線、日豊(にっぽう)本線経由で大分へ向かう特急列車です。
列車は概ね毎時2本運行され、博多~大分間は最速2時間1分、小倉では山陽新幹線と接続し、本州から東九州へ向かうルートを形成しています。
東京~大分間は、東海道・山陽新幹線&ソニックでも小倉乗換で最速6時間、正規料金でも飛行機の直前の特割より大体5,000円以上安くなります。
望月は新幹線の「EX-IC」でポイントを貯めて特典を使い、東京から「のぞみ」グリーン車でゆったりと移動。
小倉からはJR九州の割引きっぷ「2枚きっぷ」を組み合わせて「ソニック」を利用することが多いです。

EX-ICサービス URL:https://expy.jp/product/exic/

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「ソニック」に充当される883系電車は、今から20年以上前、平成7(1995)年のデビュー。
JR九州の列車ではおなじみのデザイナー・水戸岡鋭治(みとおか・えいじ)さんがデザインを手がけました。
当初は「ワンダーランドエクスプレス」の愛称と共に登場、私も初めて乗った時はまるで遊園地のようなワクワク感を憶えました。
現在は少し大人っぽくリニューアルされましたが、今なお近未来的な外観は健在。
これが毎日、定期運行の特急列車として走っているって・・・やっぱり「九州の特急ってスゴイ!」ですよね。

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デッキに1歩足を踏み入れますと、沿線紹介などの展示スペースが・・・。
この車両には、大分県国東(くにさき)半島の特産品「七島藺(しちとうい)」の角座が展示されていました。
かつては、日本全国で畳表として使われ親しまれてきたという「七島藺」ですが、今では大分・国東市でしか栽培されていないのだそう。
昭和39(1964)年の東京オリンピックでは、柔道会場の畳にも採用されたそうで、私は不勉強でココで見るまで「七島藺」を全く知りませんでした。
こういった沿線の魅力が毎日走る特急のデッキでアピールされていると、沿線在住の人でもきっと乗る度に誇らしく感じることでしょう。

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フローリングの床に、列車のシンボルマークにもなっているキャラクターのような形のシートが並ぶ普通車。
ヘッドレスト(本革製)を兼ねたユニークな形となっています。
90年代前半までの列車には大人しいシートが多かっただけに、この形が出てきた時には「鉄道車両でココまで遊べるんだぁ!」と衝撃を受けました。
さらにリニューアルによって生まれたフローリングの床には、883系「Sonic」の刻印が・・・。
多くの人が足で踏みつけていく通路なのに、ちゃんと手が込んだ作りの車両に出逢えると乗っただけで嬉しくなりますよね。

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せっかく883系の特急「ソニック」に乗るなら1号車がおススメ。
1号車はグリーン車と普通車が半々に分かれているため、普通車の座席数は少ないのですが窓側に電源用コンセントがあるんです。
旅先ではアレコレ調べてスマートフォンの電池を消耗しやすいだけに、在来線特急に電源があるのはホントに有難いもの。
加えて883系電車はカーブで車体を大きく傾ける振子式の車両なので、1時間半~2時間の乗車時間はスマホのチャージタイムが一番の過ごし方。
なお「ソニック」には885系の”白いソニック”もありますので、指定席を取る際は事前に時刻表等で使用車両をチェックしておきましょう。

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今日はそんな特急「ソニック」が発着する大分駅の駅弁から「大分の車窓」(1,029円)をご紹介。
「大分の車窓」は平成24(2012)年に新しい大分駅のオープン、市制施行100周年に合わせて行われた「大分駅弁開発プロジェクト」で誕生した駅弁の1つです。
しかもこの駅弁、半年にわたるUstreamの生放送を通じて開発が行われていったものでもあります。
大分のホテルの日本料理店の料理長がプロデュースする形で、大分の百貨店「トキハ」などに店舗を構える「まるみや」が調製を担当。
開発段階から主導的に関わってきた「大分市観光協会」が推薦のお墨付きを与えています。

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【おしながき】
大葉風味のとり天
鰤の照り焼き
海老のつや煮
玉子焼き
鰯のつみれ揚げ
椎茸と季節のお野菜の煮物
笹の葉で包んだ炙りさば寿司
白飯俵むすび
鶏めし俵むすび
香の物
さつまいもの甘露煮

仕切りのマスを車窓に見立て、大分の名産がたっぷり詰まった駅弁です。
開発に当たってフェイスブックで行われた視聴者アンケートで人気がダントツ1位だった、大分の郷土料理「とり天」をメインのおかずに使用。
「冷めても美味しいとり天」を実現すべく、鶏肉に下味をつけて大分の隠れた名産・大葉を入れ込んだといいます。
地域の特産があれもこれも・・・となってしまうのは、多くの人が開発に絡んだ駅弁の宿命ですね。
先日紹介した「とやま弁当」同様「行政系特産満載型駅弁」とでも言えましょうか。
このタイプの駅弁はボリューム過剰になりやすい中、「大分の車窓」は女性でも食べきれるくらいの量に抑えられているのが有難いところ。
大分もほかの地方同様にクルマ社会かと思いますが、打ち上げ花火に終わらず、地元に愛され続ける「駅弁文化」として育っていってほしいものです。

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日豊本線をはじめとした”大分の車窓”は風光明媚な所が多いですが、特急「ソニック」でちょっぴりネタになるのは「宇佐(うさ)駅」。
ローマ字表記すると「USA」となり、プチ「USA」体験が出来るコトで国鉄時代から知られてきました。
英語の音速に由来する「ソニック」、その”音速”旅の、束の間のひと息のように現れるのが「USA」の駅名板です。
東京から飛行機でビュンと乗り込んだら味わえない、鉄道旅ならではのひとコマ。
今こそ!サマー「ソニック」体験しながら大分へ・・・いかがですか?

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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