それゆけ!ドーナツ盤万博

強烈だった西城秀樹のロック魂全開の3連発

第11回 『西城秀樹メドレー(1)』 

最近、ますます加熱するアナログ盤ブーム。そしてシングル盤が「ドーナツ盤」でリリースされていた時代=昭和の楽曲に注目する平成世代も増えています。
子供の頃から歌謡曲にどっぷり浸かって育ち、部屋がドーナツ盤で溢れている構成作家・チャッピー加藤(昭和42年生)と、昭和の歌謡曲にインスパイアされた活動で注目のアーティスト・相澤瞬(昭和62年生)が、ターンテーブルでドーナツ盤を聴きながら、昭和の歌謡曲の妖しい魅力について語り合います。

チャ:「♪ハウッス、バーモンット、カレーだョォーン」……うぅ、ヒデキ! 早すぎるよー!(泣)こんにちは、チャッピー加藤です。

相澤:チャッピーさん、カレー食べながらモノマネして泣かないでください…! こんにちは、相澤瞬です。

チャ:いやー、なんせオレがガキの頃からの大スターだったし、実際逢うとすんごくイイ人だったし。……ということで遅ればせながら、今回は西城秀樹さんの追悼特集です! 場所はこちら!

相澤:今回お邪魔してる、高円寺「彦六」さん、僕は初めて来たんですけど、昭和の雰囲気があってイイですね~。このちゃぶ台も素敵です!

チャ:イイでしょ? 店主の織田島さんとは、もう20年来の知り合いなんだけど、音楽好きで、ライヴイベントも定期的にやってるの。このちゃぶ台のとこをステージにして。早川義夫さんや、遠藤ミチロウさんもここで演ったんだよ。

相澤:へー! 今度またプライベートで来よう!

チャ:そして、メシも美味いでしょ? この野菜とか、ぜんぶ自分とこの畑で採れたやつだから。

相澤:いやー、呑みながらこの企画をやれたらいいなと思ってたんですけど、こんな素晴らしいお店で実現して幸せです!

チャ:あんまり言ってるとステマっぽくなるけど(笑)マジでいい店だから、高円寺にお立ち寄りの際はぜひ!……てなわけで、今回は「彦六」のお客さんも一緒に、ヒデキの曲を聴いてもらおうかなと。いくぜー!!

チャ・相澤:ヤーングマン!!


■ロック少年だったヒデキ

チャ:いつも一曲に絞ってあれこれ言ってるけど、今回はどんどんヒデキの曲を聴いていこうと思うのね。てか、いまだに亡くなった気がしないんだよなー。

相澤:なんかわかります。子供の頃から「居て当たり前の人」がパッと居なくなると、実感沸かないですよね。

チャ:そそ! だからきょうは、数聴いてヒデキにひたりたい。オレの趣味でかけてくんで、瞬くん、感想聞かせて。

相澤:わかりました! チャッピーさん、1曲目は?

チャ:やっぱ、ヒデキといえばコレだよなー。
(♪ターンテーブルに乗せて演奏)

チャ:1979年2月21日発売、28枚目のシングル『YOUNG MAN』。ヴィレッジ・ピープルのカヴァーなんだけど、日本中が「YMCAダンス」をやってたからね。まさに国民的ヒットソングですよ。

相澤:チャッピーさん、実はですね……なにを隠そう、うちの母ってヒデキさんの大ファンだったんです!!

チャ:エッ! そういうことは早く言ってよ(笑)。お母さんいくつ?

相澤:57です。

チャ:あー、オレより6つ上か。てことは、デビューの年(1972)に11歳だから、もろ直撃世代ですな。

相澤:だから僕、小さい頃から家で、ヒデキさんの曲を普通に聴いてたんです。

チャ:そうか、英才教育を施されてたのね(笑)。

相澤:だからヒデキさんのヒット曲は後追いで知ったんですけど、ひとつ知りたいのは、当時「新御三家」(西城秀樹・野口五郎・郷ひろみ)の皆さんってどのくらい人気があったんですか?

チャ:あー、今はグループアイドルが主流だから比較が難しいけど、3人それぞれ熱狂的なファンを持ってて、まあスゴかったよ。特にヒデキは、大阪球場で10年連続ライヴをやったんだから。

相澤:凄すぎる…!!一人でですか?

チャ:そう、単独ライヴ。当時だとスタジアムライヴなんて外タレしかやってなかったけど、なんで他に先駆けてやったかというと、根っこには「ロック」があるのよ。少年時代にレッド・ツェッペリンを生で観たり、ウッドストックのフィルム観て感動したり……

相澤:ロック少年だったんですね。

チャ:そう。当時からバンド組んでて、ドラマーだったんだよね。で、ジャニス・ジョプリンなんかにも憧れて、「オレもあんなふうに、エモく歌うんだ!」と。

相澤:それで芸能界に入ったんですか。じゃ、筋金入りだったんだ。

チャ:そう。ロックをベースに芸能界に入ってきてるのよ。そこが重要で、この『YOUNG MAN』も、ヒデキ自身がカヴァーしたいって言ったんだけど、最初は周囲に反対されたんだって。

相澤:え、なぜですか?

チャ:ヴィレッジ・ピープルが、ゲイ礼賛ソングを歌うグループだってのもあるけど、ヒデキは「そんなの関係ない。いい曲だし、これは日本でも絶対ウケる!」と押し切ったのよ。そういうとこも、ロックだよね。

相澤:でも、先見の明がありましたよね。あの「YMCAダンス」もヒデキさん発案だって聞きましたけど。

チャ:そう。これはみんなで歌って踊ったほうがいいと、振付師と一緒に考えたんだよね。それが向こうに逆輸入されて、今じゃ世界中に普及してるって、スゴくない?

相澤:いやーホント、ヒデキさんグレイト! だわー。

チャ:どんどん聴きたいから、次いってみよう! 2曲目はコレ!
(♪ターンテーブルに乗せて演奏)

チャ: 1972年3月25日発売『恋する季節』。これ、デビュー曲ね。
当時ヒデキは17歳。

相澤:わお、年齢よりずいぶん大人っぽいですねー。昔のアイドルって、みんなそうですけど。

チャ:まあ、今みたいにどんどん下の世代に合わせてく文化じゃなかったからからなー。で、作曲は筒美京平さんなんだよね。

相澤:京平さんでデビューなんだ! これ、全然ロック調じゃなくて、普通の歌謡曲って感じですけど、ヒデキさん的にはこれでデビューするのって不満だったんじゃないですか?

チャ:まあ本意ではなかっただろうけど、でも与えられたフィールドで全力を尽くす、というヒデキの固い意思、プロ魂を感じるね。

相澤:なるほどー。それと、いまジャケット裏返してビックリしたんですけど、プロフィールのとこに本名が普通に書いてありますねー。「木本龍雄」って、今だったら伏せると思うんですけど。

チャ:あ、昔は個人情報ダダ漏れだったから(笑)。本名載せるなんて普通で、住所載っけてる女性アイドルもいたよ。

相澤:エーッ!? マジですか? あり得ない!

チャ:ファンレター書く人のためだけど、悪質なストーカーとかいなかった牧歌的な時代だから。

相澤:昭和ならではですねー。


■ヒデキが刷り込んだ“ロック魂”

チャ:……お次は、時代をちょっと下って、こちら!
(♪ターンテーブルに乗せて演奏)

チャ:「おー! ローラー!」……って、当時小学校でどれだけ叫んだことか。74年8月25日発売、10枚目のシングル『傷だらけのローラ』。この大袈裟なアレンジがイイんだよねー。瞬くん、どう?

相澤:確かに、攻めてますよね、このアレンジ! 編曲は誰ですか?

チャ:馬飼野康二さん。初期のヒデキのアレンジってだいたいこの人で、この曲では作曲も担当してるんだけど、まあとにかくヒデキのことをよくわかってる人なのよ。この曲、当時の歌謡曲の中で、間違いなくいちばんエモかった!

相澤:歌謡曲の枠を、崩しに掛かってるって感じがしますね。

チャ:そそ、当時聴いてて「ヒデキは違うな」と思ったのはまさにそこで、歌謡曲の枠内にいながらも、その中でちゃんと壊すとこは壊してるし、中から革命を起こしてるんだよね。

相澤:これ、TVの歌番組ではどんなふうに歌ってたんですか?

チャ:とにかく絶唱してた。「オー! ローラー!」のとこって、ヒデキ、なんか悪いモンでも食べたみたいに叫んでたし(笑)。

相澤:み、観たい(笑)。

チャ:あと『薔薇の鎖』(74年2月25日発売、8枚目のシングル)なんて、マイクスタンドをひっくり返して歌ってたから。学校で掃除のとき、モップ持ってよく真似してたなー。

相澤:え。それも聴かせてもらっていいです?

チャ:もちろん!
(♪ターンテーブルに乗せて演奏)

相澤:わー、これもヤバイですね! 好きなアレンジ!

チャ:順番で言うと、この『薔薇の鎖』が出て、やめろと言われてもやめない『激しい恋』が出て、さっきの『傷だらけのローラ』なのね。このロック魂全開の3連発、強烈だったなー。

相澤:これって当時、他の男性アイドルにも影響を与えたんじゃないですか?

チャ:与えたんだけど、でも誰もヒデキの真似はできなかったのよ。なぜなら、ロックを聴いて育ってないから。表面だけ真似したって、うそんこなんだよね。

相澤:あー、わかります!

チャ;ロックやってる人たちから見ると、「歌謡曲じゃないか、こんなもん」って言うんだけど、そうじゃない、その枠の中で、ロックの精神を表現してるって、ホントにすごいと思うよ。

相澤:かつ、それで売れたっていうのが素晴らしいですね。売れないと影響を与えようがないわけで……

チャ:そそ。ヒデキを通じて、当時小学生だったオレたちの世代は、ロック魂を刷り込まれちゃったんだから(笑)。

相澤:大事なのは表面じゃなく、芯の部分なんですね。

チャ:そう! 永ちゃん(矢沢永吉)もヒデキとは違うアプローチでロックを一般化していったんだけれど、あの人も広島出身なんだよね。吉田拓郎さんも広島だし、これ、偶然じゃないと思う。

相澤:何かあるんですね、広島には。

チャ:原爆落とされて数年で、市民球場作ってカープが生まれたり、生命力の強さを感じる街だからなー。……いやー、時間足らないね! 続きはまた来週、彦六で!

相澤:ラジャー! 楽しみにしてます!

……次回も、西城秀樹追悼第2弾!『ヒデキメドレー』を聴きながら、二人が熱く語ります。お楽しみに!

——————————————————
今回お邪魔したお店:「大陸バー 彦六」
東京都杉並区高円寺北2-22-11-2F
JR中央線・総武線高円寺駅北口より徒歩4分
営業時間:水・木・金・土 18:00~26:00 日・月 18:00~24:00
火曜定休 地図・ライブ予定などはホームページにて
http://www.ukuleleafternoon.com/hiko6/

——————————————————

▼相澤瞬 おすすめライブ情報はこちら!▼

◆6月25日(月) 下北沢MOSAiC (ソロ&ニュー昭和万博)
森本×相澤瞬 presents
『歌謡曲をもっと知ろう!Vol.2』
【出演】
相澤瞬、ニュー昭和万博、千葉山貴公、森ゆめな、
アイアムアイ、広瀬咲楽+橋詰遼(蜜)

◆6月26日(火) 渋谷TAKE OFF 7 (ソロ&ピアノデュオ)
SHIBUYA ! PARTY! PARTY! vol.15
【出演】
相澤瞬と白石なる、GAO、MUROCK O’ CLOCK、Sonic Blew

◆7月22日(日) 吉祥寺シルバーエレファント (プラグラムハッチ)
プラグラムハッチ レコ発&改名10周年記念企画
「TOKYOトレンディナイト」
【出演】
プラグラムハッチ、姫乃たま、弱虫倶楽部、かなまる、オワリズム弁慶

——————————————————

【チャッピー加藤/Chappy Kato】

昭和42年(1967)生まれ。名古屋市出身。歌謡曲をこよなく愛する構成作家。好きな曲を発売当時のドーナツ盤で聴こうとコツコツ買い集めているうちに、いつの間にか部屋が中古レコード店状態に。みんなにも聴いてもらおうと、本業のかたわら、ターンテーブル片手に出張。歌謡DJ活動にも勤しむ。
好きなものは、ドラゴンズ、バカ映画、プリン、つけ麺、キジトラ猫。

【相澤瞬/Shun Aizawa】

昭和62年(1987)生まれ。千葉県出身。懐かしさと新しさを兼ね備えた中毒性のある楽曲を、類い稀なる唄声で届けるシンガーソングライター。どこまでもポップなソロ活動、ニューウェーヴな歌謡曲を奏でる「プラグラムハッチ」、 昭和歌謡曲のカバーバンド「ニュー昭和万博」など幅広く活動。
好きなものは、昭和歌謡、特撮、温泉、うどん、ポメラニアン。

ニッポン放送 ニッポン放送
Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.