エイミー・ワインハウス、魅惑の歌声と真実の姿『AMY エイミー』 しゃベルシネマ【第39回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回の「しゃベルシネマ」で紹介するのは、世界中を感動と衝撃の渦に巻き込んだ一作。
第88回アカデミー賞では長編ドキュメンタリー賞も受賞。
27歳でこの世を去った歌姫、エイミー・ワインハウスの生涯を描いた傑作ドキュメンタリー『AMY エイミー』を掘り起こします。

運命を感じる映画公開

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先日、映画『ふきげんな過去』のトークショーで司会を仰せつかり、テアトル新宿に足を運んだときのこと。
出番を待つ控えスペースの壁には、映画のチラシが所狭しと立てかけられています。
ラインナップは、アート系映画が中心。
すでに観た映画、未見のもの、存在さえ知らなかった小さな映画。
これらチラシを思いつくままに手に取り物色するのが、私の楽しみ。

中でも一際目を引いたのが、ジャニス・ジョプリンのドキュメンタリー映画。
そう言えば昔、ジャニス・ジョプリンの映画、観たなぁ。
ジョン・レノンとジャニスのそっくりさん(?)が出てきて歌い狂うという…、インパクトがスゴかったけど、なんだったっけ???
記憶の糸をたどっていくと、『歌え!ジャニス・ジョプリンのように』というフランスのコメディ映画でした。

それはともかく、ジャニスのドキュメンタリー映画の何に私が魅かれたかというと、チラシの裏面に書かれた一文。
「27歳という若さで逝った…」
あぁ、そうだ。ジャニス・ジョプリンも、27歳で旅立ってしまった。
27歳で他界したミュージシャンは多く、ほかにもブライアン・ジョーンズやジミ・ヘンドリックス、ジム・モリソン…。
その悲劇のスターたちは「27クラブ」と呼ばれていて、エイミー・ワインハウスが急死したとき『エイミーも“悲劇の「27クラブ」”に名を連ねてしまった』と報道されていたことを思い出します。

ジャニス・ジョプリンとエイミー・ワインハウス。
二人のドキュメンタリー映画が同じ年に公開されるのも、何かの運命なのでしょうか。

ありのままの姿に、感動とも呼べる衝撃が走る

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2006年発売のセカンドアルバム「バック・トゥ・ブラック」が全世界で1,200万枚以上を売り上げ、2008年の第50回グラミー賞では5部門を受賞するなど、世界で人気を集めたエイミー・ワインハウス。
しかし歌手として成功する一方で、過激な発言などでプライベートも注目され、多くのスキャンダルも報道された。

エイミー・ワインハウスの知られざる真実を、未公開フィルムやプライベート映像も交えて映し出したのが、『AMY エイミー』。
本作は第88回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞だけでなく、英国アカデミー賞やグラミー賞最優秀音楽映画賞など、各国で40冠以上を獲得しました。

監督を務めたのは、アイルトン・セナのドキュメンタリー『アイルトン・セナ 音速の彼方へ』が高く評価されたアシフ・カパディア。
27歳という若さで亡くなったエイミーのドラマチックな人生模様を、ライヴ感たっぷりな映像で綴っています。

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映画を観て驚くのは、こんなにも沢山の未公開フィルムやプライベート映像が存在していたのかということ。
複雑な家庭環境や激しい恋愛関係などが取り沙汰される機会が多かった影響でしょうか。
私たちの目に映っていた生前のエイミーは、どこかエキセントリックな印象。
その力強さと脆さのアンバランスさが魅力でもありました。

しかしこの映画を通じて知る彼女は、明るくて可愛らしくて、いじらしくて…。
歌うことが大好きな、ごく普通の女の子。
そのギャップに、観る人は感動に近い驚きを覚えることでしょう。

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7月23日は、エイミー・ワインハウスの命日。
この映画を通じて、彼女が歌に捧げた本当の思いが多くの人に伝わりますよう。
そして、エイミーの歌がいつまでも愛され続けますように。
改めて、ご冥福を祈ります。

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2016年7月16日から角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、角川シネマ新宿ほか、全国ロードショー
監督:アシフ・カパディア
出演:エイミー・ワインハウス
©2015 Universal Music Operations Limited.
公式サイト:http://amy-movie.jp/

八雲さんキャプション