G7~トランプ大統領が「アメリカファースト」を貫く理由

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6/4 FM93 AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!①

G7~異例のアメリカ政策を非難し閉幕
7:00~ガチンコ ニュース UP!:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

モルノー 財務相 カナダ G7

記者会見するG7議長国カナダのモルノー財務相=2018年6月2日、カナダ・ウィスラー(共同) 写真提供:共同通信社

大きな問題をはらむ米貿易問題

カナダで開かれた、主要7カ国地域の財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)で、日本を含むアメリカ以外の6カ国は、アメリカ政府による鉄鋼・アルミニウム輸入関税措置を批判し、閉幕した。議論は今月8日に始まる主要7カ国首脳会議(G7サミット)に引き継がれることになる。

飯田)議長国カナダのモルノー財務大臣は、議論について「G7が1対6の対立構造に陥った」と認めたそうです。一時は「共同声明も6カ国でやろう」みたいなことまで言われたそうですね。

須田)日本だけがアメリカ批判に、極めて消極的というか、腰が引けているのです。この部分で、やはり批判をしておくべきでした。
何故かというと、このアメリカの貿易関税問題は、けっこう大きな問題をはらんでいるのです。歴史的経緯を見ると、米ソ冷戦が終わり、グローバリズム、一極化の時代を迎えますが、ここに来て、ローカリズムへの大きな転換が起こりかかっている状況にあるのです。たとえば、ブレグジット(イギリスのEU脱退)問題1つとってもそうですが、これがさらに加速しかねない。そういう状況下で、「どちらがいいか」で考えると、貿易自由化の流れは、過去の経験から、戦争を回避するためには必要なのではないかと思います。

ブロック経済になってしまうと、第2次世界大戦直前の情勢に

須田)アメリカ主導のグローバリズムというのも問題ありますが、ローカリズムにはまり込むと、ある意味でブロック経済みたいな状況になりますから。貿易輸出立国の日本としては、そこに一定程度の楔を打ち込むことは必要だったのではないかと思います。

飯田)もちろんグローバリズムの行き過ぎも問題だったけれど、ブロック経済まで行くと、それこそ第2次世界大戦直前の世界の状況に似てくるわけですね。

須田)そうですね。なおかつアメリカは、一番大きな問題は、シェールガス、シェールオイルの発見・発掘により、原油・天然ガスに関しては、これまで純輸入国だったのが、輸出国に転じていった。つまり、自国ですべてまかなえるような体質になってしまったのです。そこでどんどん内向きな状態になってきた。そこに、トランプさんの登場でそれが加速している。ブレーキをかけることができるのか、瀬戸際に入ってきています。

自由貿易のメリットを一番享受してきた中国

飯田)自由貿易を誰が旗手としてやっていくのかで、中国が手を挙げたり。「え、この国は自由貿易してたかな?」みたいな国がね。

須田)中国にとっても死活問題なのです。「中国は自由貿易してたか?」と指摘がありましたが、自由貿易で一番大きなメリットを享受してきたのが中国ですから。「それは困る!」みたいな状況になってきた。米中の緊張感が、いろいろなところにハレーションを起こすと思います。

飯田)アメリカが頑ななのは、選挙があるから?

須田)それもありますが、先述のようにアメリカにとって自由貿易はメリットがないのですよ。この問題はたとえば中東からの米軍撤退のような、プレゼンス低下問題も絡んでいます。
何故そこで中東から手を退きつつあるかというと、中東エリア、つまり原油輸入に関して、あまりうま味が無くなってきたのですよ。それに対して、アメリカの苛立ちというのは、「一生懸命アメリカが中東和平に努めているのに、そこに中国がタダ乗りしてるじゃないか!」と。「中東和平に1銭も払わずにメリットを享受しているのは中国だ」という不満が強いのです。

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