12歳の少女の保護犬活動と、今も真相不明の迷い犬の結末とは

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【ペットと一緒に vol.89】

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筆者は少女時代、猟犬の迷い犬を都内で保護したことがあります。その経緯を投稿した30年ほど前の愛犬雑誌を、たまたま実家で見つけました。今回は、初めての保護犬活動を振り返ってみたいと思います。


犬と猫が大好き過ぎた幼少期

筆者は小学2年生の頃からヨークシャー・テリアと暮らし、それまでも父方の祖父母の家には常に犬が2~3頭、母方の祖父母宅には猫がいたので、大の犬猫好きでした。

図書館で選ぶ本も、シートン動物記や椋鳩十の動物小説など。

そんな筆者は、愛犬雑誌のペンフレンド募集ページに応募して、今で言うところの“犬トモ”を作り、希望犬種の写真の交換などを行ったりもしていました。

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小学生時代の筆者と祖父母宅の愛犬と

写真を撮ることが趣味でもあったので、愛犬の写真や、隣の家の猫の写真を雑誌に応募することも。

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月刊誌『猫の手帖』に掲載された、隣の家の猫の写真。ちなみにこれは3階

そんな筆者が12歳の頃に月刊誌『ワン』投稿した記事を、連休中に実家を整理していたら見つけたので、当時のエピソードをご紹介します。

筆者にとってそれは、初めての保護犬活動でした。


12歳の少女の精一杯の、迷い犬の保護活動

筆者は12歳当時、兵庫県宝塚市に住んでいました。長期休暇中は、東京都内の祖父母宅によく滞在していたものです。

もう30年ほど前ですが、池袋という都会の真ん中の祖父母宅の前に、迷い犬は突然に現れました。犬種はたぶん、ジャーマン・ポインター。

“迷い犬の飼い主さんを探しています”と、手書きのポスターを作成して、近隣住民の知人宅にお願いして貼ったり、警察に届けたりしましたが、手がかりはありませんでした。

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雑誌『ワン』(wanwan Roomコーナー)への投稿記事

その後、祖父母宅の駐車場から、レオと名付けたその犬を見知らぬ人が連れて行くのを、近所の知人が目撃したとか。以来、レオの消息はわからなくなりました。

もし知っている人がいれば……、との思いで、筆者は雑誌に投稿をしたのです。

祖父母宅で一時預かりをしながら飼い主さんを探し、しばらく経っても見つからなければ、新しい家族を探そうという話もしていたのですが、どこか釈然としない結末を迎えてしまいました。

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ポラロイドカメラで撮影して残っている、レオの唯一の写真

当時はときどき回収車で野良犬などが、自治体スタッフによって連れて行かれていた時代。レオももしかして……、と考えましたが、さすがに飼い主のいない犬だとわかっても、住民の駐車場に侵入してまでは犬を連れて行かないでしょう。

だとすると、何も言わず、誰がレオを……。


迷い犬の飼い主が見つかりやすい時代に

あれから30年ほど経ち、インターネット時代になった今は、たとえ愛犬が迷子になったとしても探しやすくなりました。

筆者が東京都中央区から委嘱されて一員になっている「中央区動物との共生推進員」のグループメールには、“失踪犬情報”や“失踪猫情報”がしばしば回ってきます。

区民などから中央区保健所に寄せられた情報を、保健所が共生推進員のグループメールに送信しているのです。

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「迷い犬にならないように飼い主さんについていかないとね」

メールには、いつ、どこで、どんな犬や猫が、どんな状態で失踪したかが記載されています。

共生推進員は、自身や家族の外出時や、地域猫の餌やりボランティア活動中に、注意して失踪ペットを探します。失踪してからすぐに探し始めるのが、無事にペットを保護するためには何より重要。共生推進員は、失踪場所近くの商店や配達員などに情報を知らせたり、SNSに投稿して捜索の協力を呼びかけたりすることも。その成果で、迷子になったペットの多くは保護できています。

筆者は迷子対策として、2頭の愛犬にマイクロチップを入れています。

迷子札がついている首輪がはずれて失踪した万が一の際でも、動物病院や動物愛護センターに備えてあるマイクロチップのリーダーでID番号を読み込んでもらい、飼い主である筆者に連絡が来るでしょう。

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マイクロチップ挿入済の筆者の愛犬リンリン

実は現在でも、動物愛護センターに収容される迷い犬は少なくありません。

筆者が以前、あるミニチュア・シュナウザーのレスキュー団体に取材をしたところ、保護するミニシュナのうちの半数近くは迷子犬ではないかと考えられるとか。

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シュナやテリア種や猟犬系など活発な犬種は失踪に要注意

レオに思いを馳せると同時に、捨てられたり、迷子になったりする犬が1頭でも減るように、そして迷子になっても飼い主さんに再会できる犬が1頭でも増えるように願わずにはいられません。

連載情報

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ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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