イスラエルのアメリカ大使館移転の意味するところ

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5/14 FM93 AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!④

イスラエルのアメリカ大使館本日移転
7:27~教えて! ニュースキーワード:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

エルサレムへの移転は中間選挙に向けて“福音派”へのアピール

トランプ政権はイスラエル建国70年の5月14日、イスラエルにあるアメリカ大使館を商業都市テルアビブから、エルサレムへと移転する。歴代アメリカ政権の中東政策が、抜本的に転換する日となりそうである。この地を将来の独立国家の首都と位置付けているパレスチナは猛反発しており、和平交渉再開はかなり厳しい状況になっている。

飯田)アメリカ大使館の移転。ちなみに日本大使館はテルアビブにあります。「エルサレムに移転する」という意味は、相当大きいようですね。

須田)日本人には理解しにくい問題だと思います。イスラエル建国のときの経緯というか、「約束の地(カナンの地)へ国を造りますよ。そこの中心である首都はもちろんエルサレム。これは旧約聖書に書かれていることだ」という主張のもとに入ってくるわけです。
その一方、パレスチナ人にとって、エルサレムは聖地ですから。

飯田)第3の聖地と言われている岩のドーム。ムハンマドが昇天した場所ですね。

須田)そこは互いに絶対に譲ることができない地域であるわけです。そこを上手く折り合ってここまで来たわけですが、アメリカの、トランプさんの行動によりバランスが崩れてきた。
とはいえ、アメリカの中間選挙の影響が大きいと思います。福音派と言われている、「聖書に書かれていることは全部実際に起こったことであり、起こり得ることだ」と認識している人たちに対してのアピール。その意味でも、宗教的な問題が大きく絡んでいると考えていいと思います。

中東政策の優先度が下がるアメリカ

飯田)いままでアメリカは一歩引いた立場で中立的立場だったからこそ、双方の和解を仲介する立場でしたが、エルサレム移転により、「だいぶイスラエル寄りじゃないか」とパレスチナ側に見られ、仲介には向かない、となってしまった。

須田)その点では、パレスチナ側の主張だけでなく、普通にニュートラルの立場から見てもそんな感じですよ。いままで両方に対してバランス取ってきたのに、イスラエルの主張を一方的に聞くのでは「イスラエル寄りになったな」と。
アメリカにとって見ると、中東政策の優先順位がグンと下がってきているのも大きな要因としてあるのかな。さほど重要な地じゃないと考えているのでは、と思います。

中東から撤収しつつあるアメリカ

飯田)原油に対する見方がアメリカのなかで変わったのが大きいわけですか?

須田)それと軍事費削減ですね。世界のGDPにおけるアメリカの比率は、もはや20%前後まで落ちてきています。それに対して世界の軍事費に占めるアメリカの軍事費の割合は4割です。このアンバランスさをどうにか解消していこうとするのが、近年のアメリカの世界政策でしたから。
すると、中東から撤収するのは、大きな流れとして間違いないと思います。

飯田)やはりそこの部分が「アメリカ・ファースト」だから、退いていき、当事国にまかせる、と。

須田)だから、力の空白というのが起こり、そこでイスラエルとパレスチナの対立関係や、サウジアラビアとイランの対立関係が表に出ているのです。いままではそれをアメリカが抑えつけていたのです。

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