黒部峡谷鉄道・トロッコ列車で行く秘湯「名剣温泉」!~富山駅「ますのすし小箱」(800円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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富山へ行ったら一度は乗ってみたいのが「黒部峡谷鉄道」のトロッコ列車
運行区間は宇奈月と欅平(けやきだいら)の間20キロあまり、所要時間はおよそ「1時間20分」です。
オープンエアのトロッコ列車が、日本一深いとも言われるV字峡谷にへばりつくようにガタゴトガタゴト・・・。
客車を吹き抜ける自然の風と木々の緑が、瞬く間に都会の疲れを癒し、明日への英気を養ってくれます。
今回はこの「黒部峡谷鉄道」のトロッコ列車に乗らないと行くことが出来ない”秘湯の宿”を目指します。

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「黒部峡谷鉄道」のトロッコ列車・・・実は3タイプの車両があります。
”黒部のトロッコ”と聞いて、たぶん最初に思い出すのは「普通客車(オープン型)」。
横1列4人掛けの背もたれの無い車両で、ツアーの人たちや混雑時間帯に乗る人はこれにビッチリ人が並んで乗車していきます。
晴れた日は素晴らしく”絵的にもいい”ですが、山の天気は急変することも多いので防寒具や雨対策などの用意も必要。
繁忙期、繁忙時間帯で無ければ、当日でも乗車券の購入は可能です。

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私がトロッコ列車に乗る時は、いつも愛用しているのが「リラックス客車」。
「530円」の追加で、窓が付いた、背もたれ付の進行方向に向かって座れるシートになります。
普通客車でも最初の10分はテンションが高いので大丈夫ですが、1時間20分乗ると背もたれが無いのでだんだん苦行に・・・。
「リラックス客車」は空いていることも多いので、席を向かい合わせにして、足を伸ばし、個室気分で”自分だけの黒部”を満喫できます。
このほか、窓付ボックスシートタイプの「特別客車」(追加料金:370円)を連結した列車もあります。

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「リラックス客車」であれば駅弁を買いこんでいただくことも出来ちゃいそう。
今回は富山駅弁・源の「ますのすし小箱」(800円)をご紹介します。
東京駅「駅弁屋・祭」などでも販売されている「ますのすし」は丸くて大きい曲物に入ったタイプのものです。
この”普通の”「ますのすし」は1人で食べるものというより、何人かで食べ分けたり、土産をイメージした作りになっています。
一方、北陸エリアで販売される「ますのすし小箱」は元々「ますのすし弁当」という名前で販売されていたもので、1人で食べられる「ますのすし」です。

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「ますのすし小箱」の名にふさわしく、容器も角型の弁当タイプのもの。
さらに食べやすい大きさに切れ目が入れられていて、箸を入れればサッと食べられるようになっています。
チーズとかと一緒で、実は「ますのすし」にも”切れてるますのすし”というのがあるんです!
今まで「ますのすしって大きいからちょっと・・・」と思っていた人は、このタイプなら気軽に食べられますよね。
「小箱」「小丸」など1人で食べられる「ますのすし」には、金沢・大野醤油の「直源醤油」が付いているのも特徴です。

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「ますのすし」の由来となったサクラマスのように(?)、トロッコ列車は黒部川沿いをさかのぼっていきます。
黒部のトロッコ列車に乗るツアーのお客さんは、前日に宇奈月温泉まで入って、午前中トロッコに乗り、午後戻るパターンが多い様子。
ということは・・・このパターンの「逆」を行けば、人が多過ぎず、黒部の自然を存分に楽しめるということにもなります。
訪れた日は宇奈月15:40発、下り最終の欅平行に乗車しましたので、各車両とも超ゆったり気分!
ちなみにこの列車、東京12:24発の北陸新幹線「はくたか563号」から乗り継げるので、東京を昼過ぎに出ても黒部峡谷まで行けるのです。

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トロッコ列車の車窓にはエメラルドグリーンの絶景が続きます。
川沿いで湧く温泉成分が流れ込んでいることもあるのでしょう。
緑が濃くなってきた山、青い空、白い雲とのコントラストも美しい!
このキラキラした車窓は、何度訪れてもまた見たくなる景色ですね。

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終点・欅平から今宵の宿へは歩いて15分あまり・・・。
そんな宿へ向かう人が最初に面食らうのが、巨大な岩をくりぬいた道とヘルメット。
「人喰岩(ひとくいいわ)」と名付けられたこのスポットには、要約すると3つの注意書きが・・・。

① 落石が多いエリアであること。
② 100%の安全は保障されていないこと。
③ 自己責任で通行すること。

さァ、この試練を乗り越えてでも「行くべき温泉」が黒部にはあるんです!

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お世話になったのは「名剣(めいけん)温泉」。
毎年5月の連休明けから11月ごろまで営業し、冬季は休業する一軒宿です。
例年、鉄道の開通から1か月近くかけ、欅平から温泉までの高い雪の壁を突き崩し、ようやく営業にこぎつけることが出来るという黒部の中でも特に山深い所にあります。
アクセス手段は「黒部峡谷鉄道」のみですので、トロッコ列車に1時間20分乗らないと行くことが出来ない温泉でもあります。
でも私、この5年間で3回泊まっている”リピーター”。
実は「名剣温泉」、こんな秘境にあるとは思えないくらい「もてなしが魅力」の宿なんです。

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【快適な部屋!】
一般的に「山の宿」と聞くとアメニティは二の次・・・といったイメージがあるかもしれません。
でも「名剣温泉」は違います。
落ち着いた広縁のある和室、ガラス障子の上にはちゃんと欄間も設えられていました。
その向こうには、黒部の濃い山の緑が広がり、眼下には黒部川の支流・祖母谷川が流れます。
全11室、ウォシュレット付トイレを完備した部屋もあります。

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【お湯が素晴らしい!】
露天風呂へやってくると、フワッと硫黄の匂いがして、一気に温泉気分が高まります。
5~6人でいっぱいくらいの広さですが、やや熱めのお湯がたっぷり注がれ、どんどん掛け流されていく様子はいつ見ても素晴らしい!
「名剣温泉」のお湯は、およそ1.8キロ上流にある「祖母谷(ばばだに)温泉」から引湯されています。
源泉では77.3℃、ph7.7、蒸発残留物653mg/kg(平成15年分析では成分総計900mg/kg)の単純硫黄温泉が毎分373リットル自然湧出。
湯の花舞うお湯に身をゆだねて、川の音を友に深い谷を見上げれば、自然と1つになったかのような気分が味わえます。

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【料理が美味しい!】
そして何より「名剣温泉」は料理が美味しい!
富山湾の旬の魚のお造りは、泊まる私たちと同じくトロッコ列車に乗ってやってきたもの。
白えびや山菜の天ぷらはもちろん後出しで、サクッとした歯ざわりが心地いい上品な揚げ方。
山菜をグラタンで仕上げてくるようなサプライズ、ひと手間かけたスイーツまであって、山の中とは思えない夕食が楽しめます。
ちなみに私が最初に泊まった時は、食事処の対岸の崖をニホンカモシカがお散歩にやってきたり・・・なんてこともありました。

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お湯がよくて、料理がよくて、部屋も快適という「三位一体」の温泉宿は、限られた存在ですが、それなりに全国にあります。
ただ、その宿がトロッコ列車に乗らないと行けない、ニホンカモシカも普通に現れるような”秘境”にあるとなれば、やっぱり行ってみたいもの。
もちろん温泉好きには知られた人気の宿なので、なかなか宿が取れないこともありますが、そのあたりはご容赦を・・・。

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欅平駅から「名剣温泉」までは、ヘルメットをかぶってプチ探検気分で、緩やかな登り坂をぶらぶら歩いて15分ほど。
せっかく黒部峡谷のトロッコ列車に乗るなら、泊まらないともったいない!

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

【プロフィール】

望月崇史(もちづき・たかふみ)望月

1975年12月8日静岡県生まれ。
早稲田大学在学中から、ニッポン放送で放送作家に。
卒業後の2002年「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の番組サイトで始めた
ライター望月の駅弁膝栗毛」をきっかけに、全国の駅弁食べ歩きをスタート。
以来およそ15年、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。
1日1駅弁のウェブ紹介を日課とし、これまでに食べた駅弁は4500個以上。
ニッポン放送「ミュ~コミ・プラス」ルートハンター、鉄道特番などにも出演。
丸の内朝大学・温泉クラスの講師も務める。