5/4FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ！⑤

安倍総理が中東歴訪から帰国
7：44～ここだけニュース　スクープUP！：コメンテーター宮家邦彦（外交評論家）

安倍晋三首相が中東歴訪へ出発 提供産経新聞

安倍総理が中東歴訪から帰国

安倍総理大臣は中東のUAEアラブ首長国連邦、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ暫定自治区を歴訪し、昨日帰国した。中東各国の首脳とエネルギーだけではなく、先端技術やサイバーなど幅広い範囲の分野での協力関係を強化することで一致したとみられている。

飯田）西側諸国の首脳でイスラエルとパレスチナ双方を訪問し、首脳と会談したというのは、ここ最近ではかなり珍しいと言われています。

宮家）確かにそうです。日本の石油の輸入量全体のうち、UAEアラブ首長国連邦から何パーセント輸入しているか、知っていますか？僕が知っている限り、サウジアラビアが25％、UAEが25％。2カ国で全体の半分なんです。日本のエネルギー政策においてものすごく重要な国です。サウジとは別途話をしているから今回はUAEを訪問する。それからイスラエル、パレスチナ、ヨルダンも含めて今では解決の見込みが全くなくなっているんだけど、ここも日本にとっては極めて重要なので、安倍総理には行って頂いて良かったと思っています。なかなか中東まで行けないですから。
90年代、日本は中東の和平問題にものすごく貢献していました。昔はイスラエルとパレスチナ解放機構との間に「オスロ合意」というのがあって1993年に締結されました。
その前には2国間の交渉トラックと多国間との交渉トラックがあって、多国間の方に日本が入っていて、色々な分科会の議長も務めていたんです。それが今では完全に外されてしまいました。理由は言いたくないから言わないけど、ようやく総理が中東を重視したことは、極めて大事だと思います。エネルギーを確保する、そしてこの地域が安定するために日本が役割を果たすことによって、日本の繁栄を確保する。間接的ではあるけれど、極めて重要な訪問だと思います。

飯田）日本はキリスト教国でもないし、植民地を支配した旧宗主国でもないから、独自の外交ができるんだと言われていますが、実際に現場にいらっしゃって、どうでしたか？

宮家）そのへんについても言いたいことがあるんです。確かに日本との間に歴史問題はありません。キリスト教国ではないということもあるかもしれません。だけれども、往々にしてその地域をよく知らないひとが日本ならこういう役割を果たせるんではないか、みたいなそういうノリでいろんなことをやるんだけど、上手くいかないんです。私に言わせれば、そんなに簡単ではないのです。ただ日本が中東地域の問題を理解して、そして首脳レベル、政治家のレベルでドンドン動かしていく努力は必要だと思います。
僕はアラビア語を喋ることができたので1979年にエジプトに行きました。その当時から感じているのが、中東地域の人からみると日本は素晴らしいと思われていることです。同じアジア、同じ東洋なのにロシアと戦って勝った、すごいと。トルコに行くと東郷ビールというのがあったそうですよ

飯田）日露戦争の連合艦隊司令長官、東郷平八郎の！

宮家）中東には日本に対する一種の美しき誤解というのがあるんですけど、でも我々が考える東洋と彼らの考える東洋は違うんです。彼らは中東でありオリエントです。我々はアジアなんです。そういったことを踏まえて美しき誤解を利用しながら交渉をしていました。ちょうどワシントンにいた時にオスロ合意の調印式があったので。

飯田）PLOのアラファト議長とイスラエルのラビン首相との間での暫定自治に関する原則宣言、平和を目指していこうとしたオスロ合意の時に。

宮家）クリントン大統領が真ん中に立ってやったわけでしょ、ホワイトハウスで行われた調印式を見ていたんですよ。あの場に日本の外務大臣が呼ばれたんです。羽田孜さんだったんですけど、信じられなくらいに感動しました。でもそれだけの努力をしたんですよ。今はカルテットって、米・露・EU、そして国連。残念ながら日本が入ってないじゃないかって。私は今でもすごく怒っているんですが、それを少しでも挽回するために今回は総理が行ってくださってよかったなと思います。

飯田）折しもアメリカがイスラエルの大使館をエルサレムに移転する、これが特にパレスチナ、アラブのひとたちは許すことができないと。今では平和な共存はできないんじゃないかと言われている中で、日本が行ったというのは意味がありますね。

宮家）日本も経済協力はできるけど、それ以上の安全保障の分野での責任を果たすことは難しいから、そこがネックなんだけど、しかし善意は伝わっていますから、それは大事なことだと思います。

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