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諏訪中央病院名誉院長 鎌田實さん
家族へ。死ぬときは、坂田明の「ひまわり」を
葬式は、ジャニス・ジョプリンの「サマー・タイム」をかけてくれたら
うれしいです。(『鎌田實 遺言の下書き』より)
鎌田) 「今回、僕の下書きを、嫁にPCで打ち直してもらったんです。
そうしたら下書きに、妻からのメモが貼ってあって。
『お任せください。いつ倒れても、このとおりにいたします』だって(笑)」鳥越) 「そんなに力強く宣言されても、困っちゃうよね(笑)」 鎌田) 「しかも、ピースサインまで書いてあって(笑)」 鳥越・増山) 「(笑)」 -
宇宙飛行士 山崎直子さん
両親へ、パートナーへ、そしてふたりの娘へ。
ときどき、そらを見上げて想い出してくれたらうれしいです。
すっと見守っています。(『山崎直子 遺言の下書き』より)
鳥越) 「宇宙に行かれて“死生観”変わりました?」 山崎) 「広い広い宇宙から地球を見た時に、当たり前の生活を送っていることが、
実はものすごい確率、奇跡の上で成り立っていることを改めて体感しました」 -
漫画家 弘兼憲史さん
病床でいよいよという時に、一度、ガクっと死んだふりをする。
家族が駆け寄る。
そして一言「まだまだじゃよ」。
あの人は最後までバカだったと言われて死にたい。(『弘兼憲史 遺言の下書き』より)
鳥越) 「『まだまだじゃよ』というあたりが、弘兼さんらしいよね。
劇的な最期を求められる漫画家さんらしい」増山) 「計画通りいきますかね?」 鳥越) 「難しいよね(笑)」 -
『千の風になって』日本語詞・作曲家 新井満さん
いつ死んでもいいように、かみさんへの遺言は20年以上前に歌にしました。
M「ラストワルツ/新井満」(1988年発売『尋ね人の時間』より)
鳥越) 「いい歌だわ」 新井) 「世の中のご主人方にいいます。どんなに遊んで悪いことした人でも最期に『君に逢えてよかった』と言えば、大抵の奥さんは許しますよ」 増山) 「ちなみに奥様、この歌を聴いての感想は?」 新井) 「最近は『20年前に作ったのに、なかなか死なないわねえ~』って(笑)」 鳥越・増山) 「(笑)」 -
ジャーナリスト 山路徹さん
僕がもしもの時、一番気がかりなのは東日本大震災の取材で出会った猫のトラ。
そして捨て猫だったマロです。
私の恋愛騒動の時、心の支えがトラとマロでした。(『山路徹 遺言の下書き』より)
鳥越) 「僕は昔から知っているので、あえて“山路クン”と言いますね。
2匹の猫に対する気持ちは本物だと思います。
でもね、いやいやそれでおさまる男ではないです。
今度同じ質問をしたら、この人です!と女性の名前が出るように、
山路クンには、これからも生臭く生きていってほしいなあ」 -
秋元康さん
僕の遺言は・・・と考えているうちに、
今までに書いた4000曲以上の歌詞のことを思い出しました。
僕が死んでも、ラジオやテレビや有線放送でこの4000曲以上の歌詞が流れる度、僕はそこにいるわけです。
僕にとって、すべての歌詞は、後世へのメッセージであり、
遺言なのかもしれません」(『秋元康 遺言の下書き』より)
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鳥越俊太郎さん
人生の大半の時を共に過ごしてくれた“ひろこ”と、
私の生きがいだったふたりの娘たち“あすか”と“さやか”。
今、これを書きながら、あなたたちとの別れが、
こんなに辛く悲しいものなのかを実感し、思わず涙しています。
死んだら涙を流すこともありませんから、
この遺言を書きながら、思いの丈、涙を流しておきますね。
別れってこんなに悲しいものなのね。
生きている時は力強い夫や父親に思えたかもしれませんが、
本当はこんなにも心弱い男でした。これが実像ですから。
あなたたちには泣き笑いで、私の後ろ姿を見送ってほしいのです。(『鳥越俊太郎 遺言の下書き』より)