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8時のGOOD STORY
食の安全を教える短期大学
今年は、食にまつわる問題が例年になくニュースに、話題になりましたが…
こんな学校がもっとあれば「状況」は変わっていたかも知れない、
そんな風に思える短期大学があります。
兵庫県の川西市にある、『東洋食品工業短期大学』です。
出来たのは1938年(昭和13年)といいますから
今年創立70周年を迎えた、長い伝統と歴史のある学校です。
一般的にはあまり知られていませんが、食品業界ではよく知られた
存在だといいます。理由は、この学校で教えていることが、日本はもちろん、
世界的にも珍しいものだからです。
それは何かといえば、缶詰やペットボトルなど食品包装に必要な知識と技術です
特に実習をメインにしていて、「職人的な人材」を育てているのだといいます。
短期大学ですから2年制で、1学年の定員はわずかに35人。
1人の生徒に1人の先生がつくマンツーマン授業が特徴で、
2年生になると食品製造技術と密封技術の2コースに分かれて、
専門的な指導をみっちり受けるそうです。
    
この『東洋食品工業短期大学』を創ったのは、缶やペットボトルの製造・販売を
手掛ける会社「東洋製罐」の創業者で、
のちに通産大臣や経済企画庁長官などの閣僚も務めた高碕達之助さんです。 
設立のきっかけは、1つの「中毒事故」だったといいます。
昭和の初期、日本では盛んに「缶詰」が海外向けに作られていました。今のアジアの
国々のように…安い労働力を提供する工場がたくさんあったのです。
その1つに「あさりの缶詰」を作る工場がありました。あるとき、この工場で
作った製品に欠陥があったため…輸出先のアメリカ国内でそれを食べた人たちが
食中毒になってしまったのです。
この事故を知った高碕さんは、生産量は増えたけど技術が伴っていないと
反省して、『東洋食品工業短期大学』の母体となる専修学校を創ったのです。
国の援助には頼らず、私財をなげうっての設立でした。
そこでまず技術の前に教えたのは、「食品の製造現場」にたずさわる者としての
心構えでした。「缶詰」は一度フタが閉じられてしまったら…中身を確認する
ことはできません。買う人は、作った人を、売っている人を信用するしか方法は
ないのです。だから何よりも、『食品の仕事に従事する者は、心の正しい人で
なくてはならない』、そのことを教えたのです。
今でもこの考えは、受け継がれています。
「技術だけでなく、正しい心も磨いて欲しい」と、さまざまな人間形成のための
プログラムが採用されています。
そして原則として基金と補助金とで運営を行い…私立の学校でありながら、  
社会奉仕と位置付けて、一切、授業料を取らない形を貫いてきたといいます。
ちなみに現在は、経済的な環境の変化で授業料が必要ですが…
その額は年間27万円。理系の大学としては相当に安く、
国立大学の標準額の、およそ半額だそうです。
今年70年の節目を迎え、春から女子学生も受け入れ、9月からは海外からの
留学生も受け入れるようになっています。
しかし教育の方針を大きく変えるわけにはいかないと、1学年の学生数は
最大でも35人というラインは、変えません。細かいところにまで目が届く教育を
するためには、これ以上は増やしたくても増やせないというわけです。
短大となってからの50年間で、巣立っていった卒業生はおよそ1500人。
ひっそりと、でも大切なことだと、学校運営を続けてきたのです。
でも最近、その存在がこれまでになく注目されて、食品関連の企業から、
研修目的で入学してくる生徒も増えているといいます。まだ歴史の浅かった
日本の食品産業の中で教え続けてきた「正しい心」の重要性…それが今になって
注目されるとは、創設者の高碕さんが知ったなら一体どう思うでしょうか。
投稿時間:2008-11-24 11:39:15