KYOCERA 近未来story 中川翔子のG<ギザ>サイエンス! JOLF AM1242/FRIDAY 24:30〜25:00 ON AIR! メールはこちら
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京セラ 株式会社
株式会社 日経サイエンス
研究内容
参加ゼミ
2008.08.08 放送
東京大学大学院 理学系研究科
生物科学専攻
久保 健雄 研究室
地球上には実に様々な動物が生息しているが、そうした動物たちの中には、ヒトの思いも及ばないような能力を持つものたちが存在している。クマムシは昆虫などの節足動物に近縁な、0.1-1mm程度の動物で、深海からヒマラヤまで幅広く生息している。陸生クマムシの多くは周囲が乾燥した環境になると、乾眠と言われる状態になり、この状態では、驚異的な極限環境耐性(-273度の低温から151度の高温、真空?75000気圧、人の致死量の1000倍の線量のX線照射などに対する耐性)を持つ。
本研究室では乾眠機構を中心にクマムシの極限環境耐性のメカニズムの解明を目指している。
本日の研究レポート
絶対生物登場!驚異のクマムシを特捜せよ!

いやいや暑い日が続くのぉ。皆は熱中症などにはなってないか?
ワシは年だから、出来れば毎日ビールか白ワインだけを飲んで暮らしたいと思っておる。
でもそんな事は出来ぬ。生きていけぬからの。
生きていく事は大変だ。
というわけで、話は急転直下今回の研究テーマになるのだが、
クマムシだ。
クマムシを知っておるかね?残念ながらワシは知らなかった。が!
中川君は知っておった。
「温度にも気圧にも放射線にも凄く強いのに、踏むと死んでしまうんですよね。」
あの子の言葉はどこか哲学的ですらある。
これもまた、強さとは何かというテーゼではないか?
そう。このクマムシは体を乾燥させることによって、
気温であれば、高温151度から下は−273度まで。75000気圧の状況でも、
人間が浴びたら死んでしまう放射線を浴びても生存が可能という驚異の生命体だ。
真空でも生きている。乾眠と呼ばれる状態のクマムシはまさに絶対生物なのだが、
体は樽みたいな形になる。
(ちなみに、そのクマムシの事を書いた本を久保研の皆さんが見せてくれたが、
ご丁寧に、クマムシの写真の隣に、樽の絵も書いてあった。親切な本だ。)
そんなクマムシをはじめとして、様々な生物についての研究を行っているのが、
今回来てくれた、久保健雄教授率いる東京大学大学院・理学系研究科・生物化学専攻・
細胞生理化学研究室の諸君である。
山口 理美(やまぐち・あやみ)さん
深澤 太郎(ふかざわ・たろう)さん
森本 舞(もりもと・まい)さん
の3人だ。まりがとう。山口さん、森本さんはこのクマムシについて色々教えてくれた。
映像でクマムシが樽になるところも見せてくれた。確かに本当の樽みたいになる。
もしかしたら、樽の形というのが何かの意味を持っておるのかもしれんの。
長期間コールドスリープなんてものが開発された時に、クマムシの形も参考になるやも
しれん。
そしてもう一人の深澤さんは、オタマジャクシの尻尾が再生する事を研究しており、
彼はこんな話をしてくれた。「再生できない時期のおたまじゃくしに免疫を抑制する薬を
つけたら尻尾は再生するようになった。」実に面白い話だった。
人間は再生能力が低い。腕が取れたら腕は生えてこない。しかし、腕の傷から細菌の
侵入を拒み、本体である体を守ろうとする力に優れている。
生命は、進化の過程において再生能力を捨てて免疫能力を得たのかもしれないの。
種の保存や、一回の出産での数、生き残る能力などなど、
そこには様々な啓示に満ちている。

今回も実に興味深い話が聞けて中川君もワシも大満足だった。
クマムシが満足したかどうかは知らない。