1242 ニッポン放送
つかちゃんコラム
塚越孝
塚越孝
column
12月10日

連日、本誌の一面から眺めていくと、
景気回復の様子があらゆる角度からよく解る。
これが、個々人に及べば、本物となるが、
わたくしはついに実感いたしました。

呑み屋の予約がとれない。
いつもの新宿の店は年内、座敷はすべていっぱい、
一日たりとも空いてない。
神田もだめ、両国も青山もすべて断られ、
地元、丸の内でようやく一部屋だけとれました。

まだ十二月の初め、しかもウィークデーの予約で、
これですからね。
いよいよ、明るくパーッと行こーってムードが、
出てきたようです。
丸の内仲通りのミレナリオも、去年までは、
こんなにも電気使っちゃっていいのかな、
もったいないねぇなとも思ったものですが、
間もなく始まる今年は、いいねいいね、
使うときゃ使おうじゃんと素直に楽しめそうです。

地方でお読み頂いている方には申し訳ないのですが、
上京した折におさえておきたい東京の名店として、
首都圏の方には使える店として新旧、
タイプの異なる呑み屋をご紹介しましょう。

まず、丸の内仲通り日比谷寄りの鳥羽口
私が生放送をしているスタジオからも
眼下に見える「コヴァ東京」。
オープンしたばかりの新参者ですが、
イタリア・ミラノじゃ老舗として名高く、
ベルディなど芸術家、文化人のサロンとして親しまれ、
現在も直系創業者が、「カフェ経営成功の鍵は
最高の食材を毎日仕入れること」と宣う。

新鮮素材についちゃ、かつて二十坪の畑を耕し、
現在はぬか漬けに凝っている私もちとうるさい。
早速、行きました、ランチも含めて都合五回行きました。

素材の味が生きている。
酒も料理も香り豊か、舌に乗せる前に鼻腔をくすぐる。
ノドグロのアクアパッツァ、
鴨のスモーク、フォアグラ添えは最高。
野趣溢れる鴨にオレンジ、なんてありきたりでなく
野の香りする、なんと無花果の組み合わせ、唸る。
もう少し、安い手ごろなワインを置いてくれりゃ、
言うことなし。
ここでしか手に入らないチョコレートでお茶をするのもいい。

もひとつ、東京の下町中の下町、
江東区森下町に大正時代から続く居酒屋「山利喜」。
ここは、私の番組アシスタントで新潟テレビ21出身の
山本郁嬢が、近所に三年住んでいながら
敷居が高くて入れないと言うので、一緒に行きました。
値段が高いということでなく、常連ばかりのようで
入りにくいということなのですが、庶民的ないい店でした。

つゆを四十年も継ぎ足し使っているもつ煮込みにやきとん、
これまた、最高の素材ということが舌に乗せた瞬間にわかる。
夕方五時、開店前に三十人が並んでました。
あっと言う間に超満員、
各テーブルで賑やかに交わされる会話が
素晴らしいハーモニーとして店全体を包み込む。
三時間呑んで出るとき、寒空に十三人並んでました。




 
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