1242 ニッポン放送
つかちゃんコラム
塚越孝
塚越孝
column
8月 1日

落語が今、お祭り騒ぎ。
アイドル参加のドラマ「タイガー&ドラゴン」が当たり、
正蔵襲名も一応当たり、小円朝襲名は、一般人は知らないけれど、
円楽党にとっては当たりと。
奇才・快楽亭ブラックが借金こさえて、
立川流脱退という辛い話題もあるが、
これさえも含めて、祭りの真っ最中。

今年、二回目を迎えた大銀座落語祭も、大盛況のうちにお開きとなった。
七つの会場で、三日間の同時開催だから、
すべてを見るのは不可能なので、仲間と手分けして、
ほうぼう落語銀ブラ
良かったものを列べると、いや、もっと良かったものもあるでしょうが、
わたくしの範囲でということで、ご了承の程を。

まず、この祭りのリーダー、春風亭小朝は、中央会館で、
「唐茄子屋政談」をきっちり、女性客の紅涙をしぼった。
今回は、上方落語がやって来たというサブタイトルがついて、
関西のお笑いが東京に溢れたが、中でも、上方落語協会長として、
悲願の定席を天満に創ろうと奔走中の桂三枝が、
二カ所で超満員の客をひっくり返す笑いをとったのは流石だった。
中央会館では、「おーいキャディさん」「妻の旅行」、
よみうりホールでは、綾小路きみまろとの二人会で大爆笑を誘った。
昨年も、雀々の「さくらんぼ」、染丸の「三十石」の後、
ヤマハホールの客席から「東京はかなわねぇな」の声が漏れたが、
今年は、さらにその意を強くせざるを得ない上方の充実ぶりだった。

意外中の意外、望外の喜び、実は、こういうのに出くわすのが
生の魅力なのですが、驚いた。
上方のタレント落語家、落語もうまい。
それは三枝が、鶴瓶が証明しているが、
このクラスはどうかと首をかしげていた桂きん枝に月亭八方。
かつて、三枝の下でパンダという四人組を形成していたが、
古典派として嘱望された小染は、泥酔の上、黄泉路へ。
文珍は早々と独自の世界を築き東京の落語ファンにもお馴染み。
さて、出遅れた二人。
きん枝が。己の数々の失敗をまくらに、「親子酒」、
仕草も臭くなく自然に笑えた。
八方は「銀座に寄せてもらいまして」と二言、三言、言っただけで、
まくらなしで噺に、自信の程がうかがえる。
「算段の平兵衛」という、人間国宝・桂米朝が掘り起こしたもので、
人間の嫌らしさをこれでもかと描き、悪党が大活躍するが、
どこか憎めない人物で八方にぴったり。
死人を踊らせる場面は、上方ならではのはめ物(三味線・鉦・太鼓)
入りで、見事に決まった。

次の祭りは、次の日曜日。
東京の名人候補の二人、柳家さん喬、権太楼が中心となって、
お寺で行われる「圓朝まつり」。
今年で四回目となるが、
落語家とこんなに身近に触れ合える催しはありません。
八月七日朝十時から、谷中全生庵、地下鉄千駄木駅五分、入場無料。
芸人屋台がいっぱい。ここで一杯、飲(や)れば、落語通。




 
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