1242 ニッポン放送
つかちゃんコラム
塚越孝
塚越孝
column
9月10日

言葉による世代の断絶を感じました。
仕事柄、言葉には敏感かつ柔軟なんですが、
許容範囲を超えるってやつです。

十代の男が、「せけぇ」と。
なんだそりゃ?
文脈を考えると「せこい」でした。
ひどいもんだと慨嘆してると、十代の女、「やべぇ」と来た。
怒りを鎮めりゃ、合点がいく。
この伝で行けば、「せけぇ」となりぬる。

しかし、まぁ、せこいも、やばいも、
少し前まで堅気の使う言葉じゃなかった。
言葉の自由化は、かなり進んでいます。

一方で、淘汰され行く、死語となりつつある言葉もたくさんあって、
てっきり、芸人さんたちの符丁だとばっかり思っていた言葉が、
広辞苑に、きちっと載っているので意外でした。
裏の世界の言葉が、表舞台で使われるようになる半面、
隠語になっていく言葉もありそうです。

「おやかす」って言葉。
日頃使ってるよって方は、語彙豊富な言葉大臣。
芸人さんと喋ってると、たまに出てくるので、
業界用語みたいなものかと思ってました。
「野郎、さんざ、おやかされて、あんなんなっちゃったよ」
「また、周りも、めいっぱい、おやかすからねぇ」と使うことが多い。
会話の雰囲気から褒め言葉じゃぁ、無いとわかりますよね。

おだて、ほそめやす。
おだてもっこに乗っけて、ほめはやす。
囃し立てる。
そうすりゃ、豚も登るよ、木でもどこでも、
あぁ、こりゃこりゃ、ってなもんです。

しかし、芸界には、「化ける」て言葉もあって、
ある時、突然、芸がよくなる、突如、面白くなることを言う。
「野郎、そのうち、化けるかもよ」
「きっと、化けるよ」と妙な期待をこめて使う。
ですから、「おやかされてるうちに、あれよあれよと、
化けちゃった」という例もあるくらいで、
おやかし連も、こうなるとありがたい。
また、誰からもおやかされないようでは、はなから見込みがない。

辞書には、「生(お)やかす」=大きくする。おやす。
更に「生やす」を引くと=生(は)えるようにする。はやす。
大きくする。おやかす。

大きくする、で思い出したのが、
井上ひさしの青春小説「青葉繁れる」。
たしか、妄想に耽りながら「おえてきた」という科白があった。
つまり、大きくなるのは、あそこ。
私が新人アナウンサーの年に発行された
「現代落語事典」という埃かぶってた書物を引っ張り出してみると、
ありやした。

「おやかる」=動詞、勃起すること。
転じて、持ち上げるところから、人を持ち上げる、おだてることにも使う。

今や、男も女もない。
おやかされた人の内、何人が残り、
誰が乗り乗りで次のステージに向かうことになるのでしょう。
明日、短時間に、おやかし、おやかされた人の結果が出る。



オールナイトニッポンエバーグリーン2周年記念スペシャルライブ
「フォークのカリスマが帰ってきた!」
9/17(土)〜25(日)、品川プリンスホテル・クラブeX にて
18・19・23・24日の昼の部は、塚越アナが担当されます。
(12時開場・13時開演、1ドリンクつき8800円)
■18日(日)…マイク眞木、ザ・ブロードサイド・フォー、山本コウタロー
■19日(月)…ビリー・バンバン、ブレッド&バター、BUZZ
■23日(金)…チェリッシュ、紙ふうせん
■24日(土)…ソング・フォー・メモリーズ

詳しくは、キョードー東京、東京03−3498−9999まで

 
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