食べながら考えてみると、人間てのは合体させたり、
穴に入れたりが、自然の行いなんだと。
大自然の中で、珍なる食べ物に出合った。
そこでも、確たる自信はなく、今年、初めて出したんだと。
八ヶ岳を臨む高度1700メートルの蓼科高原、
ピラタスロープウェイ山麓駅の食堂。
「うなわさ丼」という黒板チョーク書きの
お薦めメニューが目を引きました。
でも、周りを見ると、カレーとか天丼、信州そばの人が多くて、
薦めには乗っていないようだ。
「よし、ここはうなわさ丼だ」と、でかい声で言ったら、
つられて何人かが注文した。
掛け値なしにとっても美味でした。
鰻の蒲焼きを一口大に切ってご飯の上にのっけてある。
それだけじゃ、せこいうな丼ですが、
間に、山葵の葉やら根がパラパラと敷いてある。
たれのついた鰻に山椒の香りと、
そこに、山葵の香りはもう煮ちゃってるのでないのですが、
独特のあの緑の辛み。
上の歯からは柔らかく鰻を攻めて、
下の歯でシャキッと山葵を噛む、楽しみのご飯も見事に絡む。
よくぞ、合わせてくれました。ヤッホー。
「レバにら」ってのも、今じゃ、中華屋のメニューの定番、
やっぱ美味いからメニューの上位に来てますね。
最近、コンビニのおにぎり人気は、ツナマヨ。
私は嫌いですが、若い奴は、にこにこ食ってやがって、
エビマヨもー、だって。
さて、合体食品のごく自然なものに、穴埋め食品がある。
私が子供の頃、竹輪に胡瓜をつめるなんて乱暴なものはなかった。
あれは、きっとスーパーマーケットが誕生して、
つまようじで試食を薦めるおばさんが考案したのだと思う。
いや、でも、男の考えのような、気もする。
竹輪の穴を見つめているうちに、入りそうだなと思って、
入れたんでしょう。
牛蒡とか人参とかもやったんだろうけど。
チーズは成功して「チーカマ」という商品になりましたからね。
九州は熊本に昔から、ハスの、穴という穴に辛子を詰め込んじゃう
「辛子蓮根」ってのがありますよ。
なんでもありですね、こうなると。
迎えるおでんの季節が楽しみ。
新ダネをつくりましょうか。
真ん中に筋を入れたはんぺんにたこを入れて、
ぺんだこ、ぺんにゃく、ぺんちく、ぺんじーに、ぺんぼーる、
なんてのもいけるかも。
既に間違いなくいけてるのは、「うなわさ」。
ぜひ、行ってみてください。
うなわさに違わず、というくらいで。
ロープウェーで七分、二千二百メートルの山頂駅は、
これから落葉松の黄葉が美しい。
ここには、他所じゃ手に入らない「苔桃大福」があります。
酒飲みの私にもあう抑えた甘さ。
山頂でお婆が、丹精込めてこねてるわけでなく、
どっか下界の工場で作ってるんでしょうが、ここしか売ってない。
もったいつけてます。
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