1242 ニッポン放送
つかちゃんコラム
塚越孝
塚越孝
column
10月15日

ひと月前、大はしゃぎ大騒ぎ大喧嘩、
大成功大失敗大散財の選挙投票前日、
おやかす→生(お)やす→生(お)えるという
使用頻度の極めて低い言葉を取り上げました。
知ってる知ってない、使ってる使ってない、
すぐそうなる、なかなか、まるでだめ。
年齢、性別を超えて、様々な反響を頂きました。
いや、ほんとのことを言うと、性別は超えられず、
野郎ばっかでした。

やっぱり、男にとって「生える」は大きなテーマで、
大きくなるかならないかで、人生が大きく変わってくる。
そこで、今じゃ、大きくならなかったらバイアグラ、
心臓まひであの世へという危険を冒してまでおやかそうという、
そんな気持ちは到底、理解できないと見えて、
女性の投書は皆無でした。

ところが、男は、膝を叩いた。
股間も叩くか、撫でるか、じっと見つめるなどした後、
字引に当たった。
言葉は、想像をかき立て、それだけで生えた青春時代を思い出し、
あれこれ分厚い辞書を操ったというありがたい方が読者、聴取者、
たっくさんいました。

代表的なものを二通。
メールによる投書で「英語にも似た言葉がある。
eract、このrがlになると、electで選ぶ、選挙する、
おやかされて立候補して当選する、日本人が聴くと
ほぼ同じ単語に聴こえるエレクト、なるほどなぁ」。

はがきでも「一字違いで選挙と○起なんですが、
日本人の発音じゃ同じでしょうね、しかし、私一人、
erectionするのはただなのに、神奈川の参議院補欠選挙に、
なんと二十五億三千万円も、かかるそうです。
一人、electionするのに二十五億、もったいない話ですねえ。」

これは、候補者が出そろう前に寄せられたものですが、
告示日を迎えて、投書の主もひっくり返ったと思う。
というのも立候補者が、全員、女性。
総務省選挙部の話では、「国政レベルでは、聴いたことがない、
珍しい構図」なんだそうで、やはり、女性も立つべき時は、
立つかという思いを強くしたものです。

三人が三人とも、子育てや少子化対策を強く訴えているので、
独り者ではないだろうと想像するのですが、
あまり、ご亭主や男の話は出てきません。
こないだの「くノ一」とは、ちょっと違うとこです。

古川柳にこんなのが、あったなぁと、産経抄を三十五年書き続けた、
名人コラムニスト、石井英夫さんが、うれしそうに教えてくれました。
「そうかぁ。おえるってのは、終える、じゃぁないんだ。
萎えるってやつの逆だったんだ、それでこの句がわかった」

しみじみと
おえたるをみる
ひとりもの




 
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