おせちが飽きたらカレーもね、と唄った蘭ちゃん(伊藤蘭)は、
わたくしの大学同級生で、先日、番組に出てもらって、
三十年の来し方を振り返りました。
「つかちゃん、お互いまだ五十、これからよ」と、
明るく語っていましたが、正月は冥土の旅の一里塚、
特番続きのテレビを観ていて、いささか年齢を感じました。
どうにも観たいものがなく、
日本映画専門チャンネルに合わせたら、はまりました。
今月は大量に、東宝映画の「社長シリーズ」が、
放映されています。
森繁久彌、加東大介、三木のり平、小林桂樹、
フランキー堺の絡みは実に軽妙で、どこから観ても笑えます。
この中で存命は、二人。
小林さんは、年寄りでも使える簡単携帯のCMで活躍。
そして森繁さんは、必ずと言っていい程、
後輩の訃報のコメントに引っ張り出される。
さらに、芸人の出世譚となると、必ず引き合いに出される。
芸人の出ではなく、早稲田を出てNHK満州放送局で
アナウンサーをしていたころからの才人で、
かの地に渡った落語の名人・志ん生が、
「あんた器用だね、内地に帰って芸人におなりよ」と
薦めたのは、有名な話。
戦後、喜劇映画で一世を風靡。
その後、シリアス物でも名優ぶりを発揮したところから、
お笑い芸人すごろくの頂点のように言われる。
年末年始のお笑い番組を観ていて、
出世とは何かを考えさせられた。
司会役、仕切り役をやってる人たちは、
頭ひとつ抜けた感があって、
大勢の並びとは違うぞみたいな雰囲気がありますが、
なんか、寂しそうなんですね。
やりたいんだけど、もう、一緒にバカできない
ムードが漂います。
「お笑いネタのグランプリ」(日本テレビ)という
特番がありましたが、こういう芸人の一丁上がりに
警鐘を鳴らす番組として楽しみました。
ネタをやらないお笑い芸人が殖えているので、
いい企画です。
続く、ナインティナインの炎への挑戦は、
今回も腹から笑え、芸人魂をたっぷり感じました。
長年、続いているフジテレビの「爆笑ヒットパレード」は、
早朝のベテラン枠が佳かった。
いくよくるよ、こだまひびき、順子ひろし、のいるこいる、
はるかかなた、カウスボタン、阪神巨人など、
きちんとネタの出来る人、ネタを持っている人は強い。
長続きするかどうかは、ネタです。
お笑いブームですが、ネタをやり続け、
そこから残るネタをいくつか生み出せる者が残るでしょう。
だから、派手さはなくとも、ネタがもともと、
古典という形で、古典という形で在る落語は楽だ。
しかし、安住せず、創作物で名作を残す必要がある。
やはり、勝負は、ネタです。
キャラクターだけじゃもたない。
キャラの上にネタが来りゃ鬼に金棒。
地上波飽きたら他チャンネルとならないよう、
ネタを大いに観せてほしいものです。
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