公開中の映画「THE有頂天ホテル」を観た。
文句なく面白い。
ひょっとすると、昔、寅さん映画で笑った正月が、
今後、三谷映画で正月ということになるかも。
観たきっかけは、フジテレビ。
この映画にさんざ悪たれをついていた日曜夜の番組だった。
爆笑問題と阿川佐和子のトリオ司会が緊迫感があって、
ぬるい番組だらけの同時間帯に異彩を放つ。
ゲストは三谷幸喜。
司会者の常で阿川「暮れの古畑任三郎、すごい視聴率で、
さすが三谷さん」と紹介がてら乗せようとすると、
「あれは、正月ですよ、観てない証拠だ」と三谷。
すかさず、「途中から観ました」。
こういう取り繕い方は、わたくしも喋り手として
何度もやってしまった経験がありますが、
事態を悪化させる。
さらに、三谷「途中から観るなら観ない方がいい」。
ヒヤヒヤもんでわくわく。
爆笑の太田、田中はこのやりとりに
特に関心を示さない。
太田はこういうバトルに喜んで参入しそうだが、
自分なりの爆弾を秘めているのが後になってわかるのだが、
ここは予定通り、席に着く。
CM明け、三谷の脚本、監督による映画の話に。
待ってましたとばかりに太田が、
「俺は、観ねぇ」と言い出した。
阿川がとりなして「三谷さんは二人の学校の
先輩なんですよねぇ」と和ませようとするが、火に油。
「俺はねぇ、日芸のころからこの人を知ってるけどさ、
もう、あのころから有名で、何をやってもうまくいく男」
「いや、そんなに知られてないでしょ」
「ふざけんなよ、日芸のキャンパスであなたのこと
知らない人なんかいなかったよ。もうね、この人には、
ふっくざつな思いがあるんだよ、俺は」
「今、言えよ」と田中が促す。
「なんか恨みでもあるの」と阿川。
「とにかくねぇ、この男ねぇ、後で言うよ」でCM。
実に巧みな引っ張りで、怒りの予定調和かと思えてくるが、
どうなるのかわくわくドキドキ。
「三谷幸喜って学生のころから今までずーっと
何やってもうまくいくんだよ、
俺なんか悶々としてて何やっていいか、
わかんなくて引きこもりみたいな時があったけど、
この人は、そういうのないの。
この世界に入っても俺ら、一回、売れて
すぐ駄目んなった時期があったけど、ないんだよこの男は。
そりゃ、三谷幸喜の映画だから面白いと思うよ、
けど、俺は観ねぇ」
最後に、三谷が三人を映画でキャスティングしたら
どうなるかでまとめ。
阿川は娼館の女将で、田中は入国審査の変な人ってのが、笑った。
太田は、なんと「川島雄三」と来たもんだ。
これには、怒りの太田も嬉しそうだった。
たしかに宿痾を背負い若くして亡くなった
天才映画監督に似ている。
見事に落ちを着けた三谷に軍配。
この青臭いやりとり、私も三十年前の日大芸術学部時代を
思い出しました。
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