三月生まれって意外と多い。
仕込みの時期に関係するのでしょうか。
三月生まれは、損か得か。
女が得か男が得かと同じくらい下らない議論を、
暇なときにすることがありますが、
ないという方は充実した日々をお過ごしの何よりの証左です。
小学校低学年まで、私の通信簿は悪く、
おふくろが、「仕方ないよ、三月生まれだもの」と
変な慰め方を毎度、してくれ、そういうもんかなとボーっと、
出来のよくない頭で考えていました。
早い奴と比べりゃ、一年も違うんだから
知力、体力に差がつくということはある。
しかし、私が全体的にできなかったのは、
国語ができなかったからだと高学年になって悟ります。
問題の意味がわからなかったのです。
出題の意図なんてくみ取りようもない。
「問一」なんて書いてあって、
二、三行書いてあるだけでもう、頭も体も拒絶反応。
当時、創刊されてブームとなった少年サンデー、
少年マガジンしか読まず、テレビばっかり観てるので、
国語の教科書にまるで興味が持てない、読まない、
理解できないという悪循環です。
教員を多く輩出する横浜国立大学を出て二年目の
男性教諭が初めての担任を持つクラスに、
運良く入りました。
隣は、女の先生で給食の時間、
行列をして手を洗いにいくという、その行進を見て助かったと。
あそこだったら、頭の中、
くもの巣が張ったまんまだったろうと思います。
新進気鋭の先生は、言いました。
「新聞を読め」と。
本紙上ではちょっと言いにくいのですが、
「少年朝日年鑑も読め」とも言ってました。
さらに、「宗教法人が政党を作った」
「鉄腕アトムの作者が意図するのは」なんてことを
小学生相手に語る。
面白くて楽しくて、ようやく私のくもは晴れて、
テストの問題の意味も意図もわかってきました。
今、まさに「一年生になったら」という時季ですが、
せっかくのゆとり教育の見直しが、おかしな方向に行かないよう、
目を光らせましょう。
お題目だけ立派でも中味が伴わなくては。
「言葉の力」を次の学習指導要領の基本的な考え方に捉えたのは、
画期的なことです。
論理的思考力を養うためには、「言葉の力」だというのは、
大いに納得、ぜひ、大きな力にしてほしいものです。
幸い、日本語ブームも、出版の世界から
テレビのバラエティー番組まで広がって、
多くの人が関心を持つ歓迎すべき状況となっています。
しかし、ここから先が実は問題で、
「言葉の力」は、「会話の力」になって初めて、
点から面になります。
ぜひ、言葉の先に、人間関係を円滑にするための
会話があるということを意識して教え、学んでほしいものです。
会話がないと人間も国もおかしくなる。
黙っていて理解し合えるのは、愛し合っている男と女だけ。
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