今日あたり、花見の予定を立てている人が多いことでしょう。
花は半開き、酒はほろ酔いが丁度いいんだってなことを言いますが、
うきうき計画を立ててるときもいいもんです。
わたくしなんざ、花の咲くのを待ちかねて、
学生時代の仲間と連れ立って、
本日、鎌倉霊園へ恩師の墓参りに繰り出します。
お好きな方は、もう、お察しのように、
墓参に託けて一杯、飲ろうという魂胆です。
恩師は、朝日新聞の事件記者で数々のスクープと
酒にまつわる武勇伝で知られた横木謙雄という人物で、
晩年、母校で学生を指導し、その教え子の一人が
無類の酒好きの私という訳です。
年一回、欠かさずニ十五年、空路で駆けつける者もいて
盛大な花見、でなくて「墓見」を催します。
教え子に、子息である写真家の横木安良夫も加わり、
故人の呑みっぷりを偲びます。
墓前に、好きだった酒を銘柄にこだわって並べ、
お隣さんの敷石なんかも、バーカウンターよろしく拝借して、
つまみを配膳します。
天気が良ければ、鎌倉の山の方から、
鶯の鳴き声も聴こえたりしてきて、
鶯が蜂蜜をなめたようだとよく言われる私の声と
見事に調和します。
もう、酔ってます。
自然と唄も飛び出し、ついには放歌高吟。
俚諺にありますね。
すむとにごるでおおちがい
はかはしずかで
ばかはうるさい
さて、この酒場、じゃなくて墓場は、
鎌倉の名を冠しているものの、
実は横浜市内(金沢区)にありまして、
今、ハマの酒呑みの間でちょっとした論争になっている
問題があります。
修学旅行、引率中に飲酒をしたとして
謹慎処分を受けた五十四歳の学年主任が
「飲酒は勤務時間外の個人生活の時間に行ったもので、
処分対象にあたらない」として、
人事委員会に不服の申し立てを行いました。
また、一緒に呑んでいた四人の中に、
市が鳴り物入りで公募、採用した楽天の副社長だった
三十三歳の校長もいたことから、謀略説も流れ、
いい酒の肴になっています。
校長は「猛省しています」と謝りましたが、
主任はそうはいかない。
酒を呑んだ午前三時三十分から四十分間は勤務時間外で、
生徒指導時間外であり、校外学習、
部活動指導中の飲酒を禁じた内規には抵触しないと訴えています。
酒量はというと、缶入りの水割りウイスキー三缶ずつだと。
その三倍以上、呑んで熟睡していた生徒もいただろうと想像すると、
そんな時間に「やれやれ」と、ほっとして杯を挙げ、
水割りをなめた先生方の抑制の効いた呑み方に
賞賛の拍手を送りたいくらいです。
わが恩師に、どう思います?と問うたなら、こう言うでしょう。
「まぁ、いいから呑め」と。
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