四月になって、じわり金利が上がり、
先月末の公示地価の発表では、十五年ぶりに
東京の住宅地の価格が上がった。
ニッポン放送のある有楽町は千代田区で、
フジテレビのあるお台場は港区。
土地の値段ベストテンのうち、
六カ所は千代田区が占めるが、上昇率となると
九カ所も港区で、渋谷区が一カ所。
ところが、港区でも海を渡った臨海地区はなく、
青山、白金、麻布、六本木という昔ながらの街ばかり。
ひょっとしてお台場は港区ってことが認識されてないのかと、
久しぶりのお台場通勤で感じますね。
電車やバスをうっかり乗り過ごしゃ、そこは江東区有明。
ほんとの港区に行くには時間がかかる。
いっそのこと流行の市町村合併で、
台場、有明一緒になって「新港区」なんかにすりゃ、
お互いのために良くて、地価もアップするのではないか。
なにも有り難がって伝統ある港区を押し頂いている必要もない。
思い切って「すばらし区」とか「たのし区」なんて
斬新な名前にしたらと思う。
戦前からの落語家・三遊亭金馬師匠によると土地は、
多少、無理してでもいい所を買えと。
ご自身は、今で言やぁ、億の金額で、
五十年にわたって住む新宿の土地を購入した。
夜、そっと行っては地べたに座っちゃ
これが俺の土地だと土を撫でたという。
借金を重ねたあげくのことだったが、結果良かった。
しかし、残念なことに金馬師匠が
演芸家連合の理事長となって建設に尽力した国立の寄席。
庶民の笑いがお上によって保護されるなんて、
という反対の声もあったが、誕生して二十七年、
ゆったりとした空間は、他の寄席では味わえない
貴重な場所となっている。
ただ、たいへん残念なことに、同じ坂でも、
今の三宅坂でなくて道玄坂に建てる計画だった。
金馬理事長、既存の寄席とぶつからないということで
渋谷を候補地に、道玄坂のいい土地を見つけた。
でも、いい所は高い。
結局、価格で折り合いが付かず、今の国立大劇場、
最高裁判所の裏手というなんとも寂しい、
駅から遠い、坂の下にできた。
国立演芸場が渋谷の道玄坂だったら、
今日の落語ブームはさらに燃え盛ったことでしょう。
あそこには、道頓堀ヌード寄席という
コント赤信号が出ていたストリップ小屋がありましたが、
お上の寄席との共存共栄を見たかった。
寄席は、やはり裁判所の傍らなんかじゃなく、
悪所、盛り場の中になくてはいけません。
現在の上野、浅草、新宿、池袋は残っている理由が
よーくわかります。
明後日まで、老舗の寄席・上野「鈴本演芸場」の夜席で、
金馬師匠の芸能生活六十五周年を祝う
「寿 金馬いななく会」が行われています。
お祝いの口上に、去年の銀賞に続き
国立花形演芸大賞の金賞に輝いた息子、金時、
これが七光の噺家が多い中、渋くいい光を放っているんですが、
私も並びます。
本日が、山本晋也監督、明日、日曜日が小生です。
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