巨根伝説は、創られる。
船で聴いて涙が出るほど面白かったので
ラジオでも喋ってもらったところ、
寝床から飛び起きて大笑いしたという方も大勢。
起きたのは、体のみならず、体の一部も同時かも。
それだけ、巨根にまつわる話は、人を、
いや、男を大いに奮い立たせる。
伝説の人は、御年、七十九歳、西丸與一氏。
法医学の権威です。
監察医を振り出しに、大学教授を経て病院長。
この間、日航機御巣鷹山墜落事故、
潜水艦なだしお衝突沈没事故などの検死を担当、
御巣鷹山から帰るや、疑惑の銃弾も診てくれってんで
ロスに飛んだという実に忙しい医者人生。
も少し、のんびりしたいと思っていたら、
シップスドクターにという話があり、
渡りに船と乗り込んだ。
これが、わたくしが惚れ込んだ
「ぱしふぃっくびぃなす」という美しいクルーズ客船です。
「飛鳥Ⅱ」も話題を呼んでいますが、
海洋国日本のクルーズ人口は、まだまだ。
業界では、年間百万人を目標に掲げていますが、
程遠い二十万人というのが現状です。
北米のクルーズ人口の5%という寂しさ、貧しさ。
実は、私もそんな贅沢なんてと思っていました。
また「豪華客船」なんて、特別な金持ちの、老後の楽しみ、
それに、フォーマルだなんだと、洋服も七面倒臭いと。
ところが、二万二〇〇〇トン「にっぽん丸」に乗り、
二万六〇〇〇トンの「ぱしふぃっくびいなす」、
更には、七万八〇〇〇トンの「スーパースターヴァーゴ」と
ドンドンはまっていきました。
旅の最大の目的と最高の魅力は、非日常。
これは船上でこそと実感。
料金もかなりこなれてきました。
そこで、きっかけはフジテレビの前に、
ニッポン放送でつけようと参加者を募り、
落語家の柳家権太楼師匠と紙切りの林家二楽さんを迎え、
先週、ツアーを実施。
二泊三日の「南紀クルーズ」。
新宮の港、緑の山をバックに停泊する姿にうっとりします。
しかし、帰路、激しい低気圧、トークショーも落語会も
船酔いでダウンが多く、客席は半分弱の入り、
我々、出演者はなんとかもちこたえましたが、
西丸ドクターには、船室から往診の要請もいくつか。
翌朝、凪いだ状態の舞台で三百人のお客さんに言いました。
「十五で初めて飲んだ酒と一緒で、これを乗り越えたところに
クルーズの素晴らしさが広がる」と。
最後は、権太楼師の「初天神」に子供から年配の方まで笑い転げ、
企画プロデューサーとして私が、
キャプテン、ドクターとお見送りをすると
酔ったのもいい思い出と皆さん、笑顔で下船していきました。
巨根伝説は、船内のイベントの一つ、
「ほろ酔いドクターズトーク」で披露されます。
検死の際、ご遺体を前に警察官が何人も股間を見つめ、
「すごいな」を連発、ざわめいている所へ、先生登場、
なぜか、つい「えっ、これがですか?」と口走ってしまった。
以来、西丸先生、連れションに行けなくなった。
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