自転車の楽しい季節。
乗ってると思わず、唄が口をついて出てきます。
♪サイクリング サイクリング ヤッホー ヤホーとか、
♪おつーかいーは自転車に乗って 気軽に行ーきましょ、
なんてね。
どうも古すぎるなと口ずさみながら反省していたら、
去年、亡くなった高田渡を思い出した。
♪自転車に乗ってベルを鳴らし 隣の町まで嫌なお使いに
そうだ、行ってみよう。
特に用はないものの、習性で通勤経路である最寄駅に向かって、
いつもはバスに乗って走る道を進んでいたのを急旋回、
反対隣の町に行けと、口から脳に指令がありました。
♪知らない町を歩いてみたい ってほどじゃなく
昔からよく知ってる町ですが、
暫くぶりだと賑わいが新鮮。
元は魚屋だったスーパーが買い物客で混んでいたので、
つられて入りました。
潮干狩りの季節。
浅蜊、蛤がつやつやぴかぴか、山と積んであります。
今夜は、酒蒸しで飲ろうと浅蜊を手にしたら、
隣に「広告の品」、120円。
ぎっしり、パックにつまった「帆立の稚貝」が。
丸括弧、青森産と安心の国産表示が
購買意欲をそそるって言っても120円。
考えるほどの値段じゃぁない。
自転車の唄のおかげで、好みのつまみを2品、
調達することができました。
かわゆい帆立は、網焼きにして、
汁をじゅるじゅると啜って食べたら旨いのなんの、
家族にも大好評で、純米酒を常温で飲るのにぴったんこなのでした。
翌々日、なんでも売ってる大手スーパーに、
空模様を気にしながら、自転車で行きました。
で、ついでに食料品売り場ものぞいてみたくなりました。
膨張、拡張主義を改め、「生鮮食品をだいじにする」と近頃、
声高らかに言っているのを思い出したからです。
鮮魚売り場で、前にいた奥さんが「あらっ、これ半額」と
声には出しませんが、明らかに、
赤地に白抜きの半額シールが貼られたパックを取り上げ、
「やった!」というような堂々たる態度で籠に入れた。
動きに見とれていたのでなんの品か二の次になっていましたが、
それはなんと「帆立の稚貝(青森産)」。
もう、残り一つ、当然のごとく求めました。
おとといのと同じか、ちょっと大き目のパックにぎっしりの、
帆立、300円、半額だから150円。
ここんとこ、安くていいもんに縁があるなと家に着いて、
鼻歌唄いながら、網にコンロを用意していたら、
かみさんが「まーた、買ってきたの、ばかの一つ覚えねぇ、
これだから男の買い物はダメ」と呆れ顔。
知らん顔して同じように純米酒を用意して焼こうと、
ぴたっとしたパックを破いたら、閉じてた貝が半開きに、臭いも変。
とても食えたもんじゃない。
そら見たことかと、かみさんの速射砲のような罵詈雑言。
あぁ、私は貝になりたい。
|