ナントカの日、ナントカの日ってのが、毎日あるんで
「時の記念日」も埋もれがちですが、大化の改新のころ、
天智天皇が水時計を創ったのが6月10日だと、
昔、社会化の先生が言ってましたっけ。
朝早い仕事をしていると、この季節にいい仕事をしたんだなと、
遥か昔の人に親近感を憶えますね。
郵便受けにコトンという音と同時に、
本紙を手にした方はわかると思いますが、
今の時季、日の出は午前4時台、お天道様が早く出てくるときに、
創ろうやって気になったんでしょう、きっと。
大化の昔から、時計が、こんなに身近な時代はありません。
それも、この30〜40年急速にそうなった。
わたくしが、自分の時計を手にしたのは、中学の入学祝い。
皆、セイコーかシチズンでした。
「セイコー」派は「中一時代」で、
「シチズン」派の連中は「中一コース」だったことも憶えてる。
どっちでもいいけど。
だいじにしてました。
初めて買ってもらったグローブと一緒で
「はぁーっ」なんつって、息吹きかけ磨いたりして、
枕元に置いて寝たりして、夜中に起きてまた腕にはめたりして。
アナウンサーになるとストップウオッチが貸与されます。
それもスイス製で、裏蓋に局の名前が刻まれている。
嬉しかったなぁ。
「警察官の銃と同じだ」なんて先輩アナから言われ、
肌身離さず持ち歩いてました。
ところが、これ、故障しがちで、ちょっとぶつけりゃこわれる。
「修理代ン万円だよー」なんて言われてるうち、
軽くて丈夫な物が出回ってきて、
皆、局の時計に有難みを感じなくなりました。
この辺りからですね、愛社精神が薄れてくるのは。
愛国心はどうか。
濃くなりますでしょうか。
ま、いいや。
時計が安くなりました。
私が局に入ったころ、つい、こないだです。
秒をカチッカチッと刻む「クオーツ」なんて、
スタジオにしかなかった。
今じゃ、クオーツなんて死語となり、
100円ショップで105円出しゃ、手に入る。
私は、105円のやら、引き出物、景品の物など、
風呂場、脱衣所、トイレと家中に置いてます。
でも、勤続20年記念の大理石の置き時計は、押入れの中。
腕時計は、金無垢の高価なものから、パリの蚤の市で買った
5ユーロの物まで愛用してますが、
中学時代の気持ちには、とてもなれない。
贅沢な時代です。
贅沢は敵だと言った時代があったそうですが、
懐かしんじゃいけない、時計の針を戻しちゃいけません。
安くてきちんと使える物が増えるのは素敵なことです。
物が溢れ過ぎているから心が、なんて意見に
与するつもりはありませんが、目覚ましをかけてでも、
夜明けとともに起きる、そうすると柿の葉の新芽やら、
緑が映えて、小鳥の声もする、夏野菜も光ってる、
こういう国土がだいじと自然に思うはず。
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