「小朝師匠は!?オチない噺家人事」
先月末から今月初めにかけて、新聞各紙に数多くの有名企業の
新役員名簿がずらっと掲載されました。
隅っこのベタ記事ですが、読む人の数は、
1面より多いかなという日も、
通勤電車の中で朝刊を器用にちっちゃくしてる人の姿から、
確かにありました。
役員の動きは、取引先にとっては最大の関心事、
さらにその下に連なる社員の人事にも影響を与えるとなれば、
食い入るように新聞を読むのも頷ける。
実際、多くの企業が株主総会を6月末に実施、
新役員の承認を得て、異動という会社が多い。
わたくしが移ってきたフジテレビは、驚きました。
所帯が大きいから、600件以上の発令。
内示の日には、どこの誰か分からないのですが、
出口調査をしている人がいて、それが即、表になり、
号外よろしく他社にも出回りました。
どうかすると余所の人の方が詳しい。
そろそろ異動の余波も落ち着いて夏休みモードか、
あるいは逆に新体制の中で激しく動き回る御仁もあるでしょうが、
どちらのタイプのサラリーマンにおかれましても、
こんな異動もあるのだという、
今後の指針となるやもしれぬ情報をお伝えします。
他紙では殆ど活字にならない、
でも、その世界においては、たいへん大きな異動。
会長人事がありました。
この地位を巡って、かつて笑えない、
洒落になんない争いがあった落語協会で、
この度、10年ぶりの会長交代劇が。
その職は、名人・文楽、志ん生、昭和天皇の御前で落語を演じた円生、
人間国宝・小さんと受け継がれ、
退いた円生の脱会を機に現在も4派分裂状態が続く、
軽いようで重い、お笑い界の頂点。
その昔、爆笑王・三平と人気を二分した歌奴の圓歌が
長いことやってきた。
さて、跡を襲うのは?
落語ブームといわれる中、誰も注目しなかった副会長。
ライバルの落語芸術協会では、歌丸会長の下、
笑点で人気の小遊三が「トイレでお尻を副会長」と
自らを揶揄してますが、老舗の落語協会は、
副会長がスンナリ会長となりました。
その名は、鈴々舎馬風。
先代は、「よく来たな、他に行くとこねぇのか」、
刑務所の慰問では「ゆっくりしていけよ、お揃いの服着て行儀いいな」と
毒舌で売った「鬼」と徒名された名物男。
当代は、はちきれそうなタキシード姿で
キックボクシングのリングアナを務めていた柳家かゑるが、
その体躯から雰囲気を真似て30年、名乗ってきたが、
一般にはあまり知られていない。
「会長への道」という代表作があるが、
これとて同じ小さん門下の兄弟子、立川談志が、
「あとは三平と歌奴(圓歌)を騙しちゃえやいいんだ」と
枕で語っていたのを一席にしたものだ。
今回の人事、芸協のように尻拭いする副も置かず、
理事を常任を平に分けたことが注目される。
そして、何より気になるのは「銀座落語祭」を
今年も大成功させた小朝が、理事から消えたことである。
小朝、脱けるのか。
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